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 『懇談前日」 〜今までに対応してきた生徒より〜 





昨日の午後10時頃。

授業も終わり、生徒も殆どが帰っている。

大学生のインストラクターも授業の報告書を書き終えて、
毎回、ボクのところに報告をしてくれているが、それも終わって一段落といった時間帯。

ボクは、明日の予定などをチェックしたり、まだ終わっていない作業を終わらせようかな、それとも明日にしよっかな、と思っていたりする時間だ。



個別指導のブースに一人、突っ伏している中3の女の子Cさん。

「あれ? お迎え待ち?」


「うん・・・。」


顔は机に突っ伏したまま、微かにうなずく。


「どうしたん? どっか体調でも悪い?」


「・・・いや、そういうわけじゃないけど。
あ、そういや、」

と、顔を上げてくれた。顔色は普通だ。


「あんな、お母さんが、先生との面談を、明日にして欲しいって言ってたよ。」


「あ、明日っ?!(笑) ま、まぁ、いいよ。
なんか、言っとくことある?

お母ちゃんには、黙っておくから!(笑)」


「ははは。嘘じゃろぉ〜!(笑)」


「ははは。(笑) まぁ、わからんけどな。(笑)
でも、最近、Cさんもよく頑張っているよね。
どう、最近はちゃんと家でもお母さんとお話ししている?」


そう言った途端、Cさんはグッとくちびるをへの字型にきつく結んだ。

すると、大粒の涙がポロポロとCさんの頬をこぼれ始めた。


ボクは黙って、隣に座った。


しばらくして、Cさんが口を開き始めた。





「あんな、センセ。
センセはな、うちのところが、両親、離婚してるって知っとるじゃろ?

それでな、お母さんが仕事から帰ってきたら、何かあるごとに
お父さんの悪口ばっかり言うんよ・・・。
もう、それ、私、聞いとったら、つらくて、つらくて・・・。


だって、私の半分はお父さんの血で出来とんじゃろ?
お父さんの悪口を言うって、私の半分は否定されてるって思ったら、苦しくて・・・。


で、この前、お母さんに内緒で、お父さんに会いに行ったんじゃけど、
お父さん、私に会っても全然喜んでくれんし、
しばらく一緒におったら、なんか急に怒り出すし・・・。

そりゃ、私は口下手じゃから・・・、

説明とか下手じゃから・・・、

イライラさせてるんかも知れんけど・・・。


じゃから、家におっても、お母さんとも話しせんし・・・。

・・・したいけど、二言目には、『勉強せられぇ〜っ!』
って怒られるし・・・。


・・・、なんて言うかなぁ・・・。
うち・・・・・・、


・・・寂しいんよ・・・。



そんなん考えとったら、
頭がパニックになるし、
もう、どうすりゃあええんか、わからんし・・・。」



「・・・。

そっか・・・。

大変じゃなぁ・・・。

でも、勇気出して、よくセンセに話してくれたなぁ〜。

ありがと!
まぁ、あとは、センセに任せて。


な?

また、明後日、塾に来た時、話ししよ。」


「うん、わかった・・・。
でも、センセに話し聞いてもらって、少しはスッとしたわ!(笑)
センセ、ありがとな。」


「ううん。ええんよ、それで!(笑)
まぁ、とりあえず、勉強を頑張ったら、今日はゆっくり寝られぇ、な?
明後日また話ししよう。」


「うん!」



とりあえず、笑顔にはなってくれた・・・。けど・・・。





子どもは、ここまで正直だ。


自分に与えてもらったものが、
「本当の愛じゃない」
ということを、正確に判断している。


そして、
正面から、
「愛をちょうだい! 本当の愛をちょうだい!!」
と暗闇に向かって、その小さな両手を伸ばしているのだ。


ホンの少しの笑顔。

ホンの少しの声かけ。

ホンの少しの我慢。

それで、子どもは安心するのだと思う。


さぁ、明日は、そのお母さんと懇談だ。
一緒に、「幸せになる方法」を考えたいと思う。





子ども達の解いたノート


   

   

   


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