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 『作文の書き方A」 〜今までに対応してきた生徒より〜 





@とは別日のDちゃんの授業。

その前日の授業で、ボクの気になるところをいくつか指摘しておいた。

そしてその翌日。
「一応、先生に言われたところ、直してみたから、見てぇ〜!」
とDちゃんが元気よく持ってきた。

ボクが読んでる間、彼女は少し恥ずかしそうな面持ちだった。(笑)

「どうかな、どうかな」
顔にそう書いてある。(笑) 
ボクは少しじらすようにゆっくりと読んだ。(笑)
(Sっ気はありません)(笑)


用紙からボクが顔を上げるなり、
「どう?」
と心配そうに聞く。


「うん! 随分と良くなったよ! 
特にこの書き出しのところ。先生がアドバイスしたこと、きちんと守ってくれたんだねぇ〜。

そう、まずは『短い文章』から書き始める。ね。
1文目の役割は、『2文目を読ませる』それだけだから、インパクトと、読みやすさが大切。

そして会話から入っているよね。良いじゃない! 
これだけでも、臨場感がビシビシ伝わってくるよ。





「静かにしなさい。あなたたちの学習発表会なんですよ。」
先生はいつになく真剣な表情でわたしたちを見ていました。


*****


この書き出しは、読み手の緊張感も引き出せるからね。
そう、読んでいる人が、あたかもそこに居るかのように思わせることが大切なんだよ。
だから、細かい描写や、会話って大事。ね。


それから、『良い意味で、読み手を裏切ること』。
例えばね、Dちゃんもテレビのドラマとか見るでしょ?

で、自分が『こうなったら良いなぁ』って思うことが、ずっと続くドラマって面白いと思う? 


うん、多分面白くないでしょ。だって、先が分かっちゃうんだから。

やっぱりさ、『ええっ! なんでそんなことするかなぁ〜!』とかさ、『何でそんなこと今言うの!』みたいなことがあるから、ドラマって見てて面白いんじゃない?



一緒なんだよ、作文も。

読んでる人が先をある程度予測できる作文は、読んでて面白くないんだよ。
だから、良い意味で裏切らないといけない。ね。

Aくんは、「○○。」と言いました。
Bくんは、「○○。」と言いました。だけど、
Cちゃんは、「○○。」と言ったのです。

ってところはさ、読んでてちょっと単調。

例えば、ここの部分でもさ、

「○○。」
Aくんは大声で言いました。その言葉が終わらないうちにBくんが得意気な顔で、
「○○。」と続けました。しかし、Cちゃんは、ちょっと怒った顔でこう言ったのです。
「○○。」「ええ〜!」みんなは驚きました。

と換えてみたら、どう感じる?
ちょっと、その時の風景が見えてくるでしょ? 
読み手が少し先を予測させないように出来ると思わない?


ね。ホンのちょっとした工夫なんだよ。
そういう積み重ねが、面白い作文になるかどうかの違い。





この前言ったよね。『感動』。
覚えてる?

そうそう、『喜怒哀楽の全て』を『感動』って言うんだったよね。
結局、作文ってそれを書くものなんだよ。
じゃあ、それを効果的に書くためにはどうしたら良いのか。


例えばね、Dちゃんが、お母さんに怒られているとするじゃない。
昨日、何かで怒られた?

ははは。そうか。
テレビ見てたら、『早く宿題しないさいっ!』って怒られたのか。ははは。ダメじゃん!(笑)
まぁ、その場面でも思い出してみようか。


最初の頃はさ、お母さんも、
『ねぇ〜、Dちゃん。そろそろテレビも止めて、宿題した方が良いんじゃない? 
なんかこの間も宿題しなきゃって、塾の前にあわててやってたんじゃないかなぁ〜。
そろそろ宿題も頑張ってやらないと、お母さんも怒るよぉ〜。』
なんて言ってたんじゃない?


ははは。『先生、何で知っとん?!』って。(笑) 
先生は、何でもお見通しだよ!(笑)

でもさ、そのときはDちゃん、どうだったの?
そう言われても、宿題しなかったんでしょ?(笑)

ははは。(笑)

なんで分かるのって?
だから先生は何でもお見通しだって!(笑)


でも、それはなんでかな?


そう! 
お母さんがまだ本気で怒ってないって分かるから、だよね。

お母さんはその時点では、まだ『冷静』だったんだよ。


だけどさ、そういうこと何回か言われて、ついにお母さんもキレたんでしょ?(笑)

ははは。(笑)



そのときは、どうだったの? 
ちょっとお母さんの言葉を思い出してみてよ。

『Dっ! 
早くしなさいって言ったでしょ! 
いい加減にしなさいっ!』
って怒られたんじゃない?(笑)



ははは。(笑)

だから、先生は何でもお見通しだって!(笑)


ね、そこで、お母さんが、本気で怒る前と怒った後の言葉を比べてみようよ。

何か気付かない?



そうそう! 怒った後の方が、言葉が短いんだよ!
そうそう! よく気が付いたねぇ〜!


ね! これ。人は『感動』すると、短い言葉しか出て来ないんだよ。
或いは、言葉も出なかったりするんだよ。


だから、それを作文に活かすこと。


『みんなで練習したかいがあって、とても素晴らしい演奏ができて、本当にうれしかったです。』


ってどう?
『感動』が伝わってくる?

あんまり伝わって来ないでしょ? 
なんでかわかる? 
そう、文章が長いから、『冷静』な感じを与えるんだよね。





それと『うれしかった』って感情をそのまま言葉にしちゃダメ。
できるだけ、見えてたもの、聞こえたものを通して、読んでもらう人にDちゃんと同じ気持ちを共有してもらうんだよ。

そう、気持ち自体を表す言葉は、「言わなくても分かる」のが理想。ね。



演奏が終わった時に、Dちゃんは何を見たの。

うん、先生が涙ぐんでたの。
良いネタ持ってるんじゃん!

うん、それで自分もグッときて、涙がこみ上げてきたわけだ。
良いネタ持ってんじゃんっ!!

それそれっ! ね。そういう心の動きだよ。


演奏が終わった直後は、『やった』って思ったくらいでも、先生の涙を見てグッときた、ここまでの心の動きも書けるんじゃない。

ちょっと書いてみようか。






『先生が、タクトを止めました。
私達の最後の音が、体育館の奥に吸い込まれていきました。
私は、心の中で「やったあ」と飛び跳ねていました。ふと、先生を見ると、眼に涙が浮かんでいました。
「あっ。」
私は思わず小さく叫びました。
「先生、泣いてる」
そう思うと、私も泣きそうになりました。
「先生、ありがとう。」
私は、心の中でおじぎをしました。
会場を見ると、お母さんがいました。お母さんも泣きながら笑っていました。一生懸命拍手をしてくれました。ほっぺたが熱くなって、涙をこらえるのが大変でした。』





良いんじゃないっ! 先に書いたのと比べてごらんよ。スゴク良いよ!
よしっ!

じゃあ、この調子で、あとも書き直してみて。
うん、今日の宿題ね。


頑張って! Dちゃんなら書けるから!」




子ども達の解いたノート


   

   

   


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