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 『りすとかっと』 〜今までに対応してきた生徒より〜 






先日の、高3の女の子。

授業が終わると、
「センセ、ちょっとええかな?」
とちょっと深刻そうな表情。


「ん? え? 何? 何か気に障るようなことでも言った?」


「ううん、そうじゃなくて。(笑)

・・・ちょっと相談なんじゃけど・・・」


「そうかな。まぁ、どうぞ。」


椅子をすすめる。


「ああ、ありがとう。」(笑)

少し微笑みが出る。



「で、何?」


「う〜ん、あんな、実は、
 ・
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今、一番仲が良い友だちがリストカットしたん・・・。





・・・でな、その傷口を洗面器にお湯を張ったところに入れて、
それを写メールに撮って、親に送ったんじゃって。

『ホンマに死ぬけーよー(死ぬからな)!』

みたいなメールを打ってな。




そしたらな、少ししたら、親からメールが帰ってきたらしいんじゃけど、何てあったと思う・・・?



『そこで死んだら、後片付けが大変じゃから、外でせられえ(やりなさい)。』

じゃって!



なんか、うちなぁ、その子がリストカットしたのも、ちょーショックじゃけど、
その親のメールもすっごいショックなんよ・・・。



センセ、どう思う・・・?」




Kさんが一気にまくしたてた。
涙がこぼれそうなのを、必死で早口でしゃべることで堪えている。
そんな感じの話し方だった。


ボクも、その話しを聞いて、怒りを通り越して悲しくなってきた。



自分の子が、そこまでSOSを出しているのに、
何で正面から向き合って話しをしてあげないのだろう・・・。

「私のことに、もっと関心を持って!」

「私を愛して!」

と、その子は真っ暗闇の中で叫んでいるのに・・・。





「そっか・・・。

そのリストカットしてからは、その子に会った?」


「昨日、会った。」


「どう? 様子は。」


「まぁ、落ち込んどったけど、普通には話せたよ。」


「目が変にすわっていたり、およいでいたり、変な行動をしたり、
何かいつもと空気が違うってことはなかった?」


「うぅ〜ん、まぁ、2時間くらいじゃったからなぁ・・・。別に変に感じたことはなかったけど・・・。」


「そうか・・・。(じゃあ、慢性化した憑依ってことでもないのかな?)

まぁ、とにかく、できるなら、小まめにメールを送ってやったりして。
でも、『がんばれ!』とか、『元気出して!』とかは、ダメよ。な。
『私なら、いつでも話し聞くよ。』くらいで、
あんまり押し付けがましくない方が良いと思う。

でも、もうちょっと自分じゃ手に負えないと思ったら、絶対、大人の手を借りんとダメよ。
センセでも良いし。連絡してよ、必ず!

もし、その子が外に出られるんなら、ここにも連れて来て。
センセにも話しをさせて。な。」


「・・・うん。わかった。ありがと。センセくらいしか、こんな話しできんから・・・。」




・・・涙がこぼれていた・・・。

今まで自分ひとりで抱え込んできたことから開放された、安堵感も少しはあるかもしれない。
不安は、誰かと共有できると、ほんの少しだけどその軽さを感じられることがある。




「大丈夫。大丈夫。

な。

でも、Kさんも大学受験があるんじゃから、自分のことも大事にな。
あの子のせいで、大学受験失敗した、なんてことは、言い訳にならないよ。

それであの子を恨んだりしたら、本末転倒よ。(笑)


見捨てちゃダメじゃけど、
まぁ、見捨てんとは思うけど(笑)、
小まめに
『わたし、今なら時間があるから、会おうか』
とか、
『良い天気だから、外に出てみる?』
とか、落ち着いたら話してあげてな。




・・・あんな、センセが思うに、その子は、本当に死のうって思ってやってはないと思うんよ。

手首を切るのって、絶対、人はためらうから、本当に手首を切っただけで死ぬ人っておらんと思う。

だからな、ある意味、パフォーマンス的な要素が強いと思うんよ。
『何か』を訴えたいというか・・・。




何を訴えたいか、というと、
『私は、あなたにとって、本当に価値のある人間なの?』
っていうこと。



愛の電池が切れている状態なんだよ。
誤作動を起しているんな。


自分でも分かってやっているのか、分からずにやっているのかは、
ちょっとセンセも実際に会ってみないと分からないけど・・・。

だから少しずつでも、Kさんが、気持ちを分けてあげて。
声をかけてあげて。な。


で、自分じゃ手に負えないと思ったら、いつでもセンセのところに連れて来てな。」





「うん、わかった・・・。私は私で、勉強も頑張らんといけんし・・・な。
また、その子には連絡してみるわ。

センセ、ありがと、遅くまで。
愛する奥さんとお子さんが待っとるんじゃろ!?」(笑)


「ははは。(笑) 
そうじゃけど、まぁ、いつも、もう寝とるからな。(笑)
ま、帰って『チン』して、ご飯食べるわ。(笑)

気をつけて帰りな。」



「うん、ありがと!」




誰もいない塾の教室で、その子の心が少しでも癒されるように、心から祈った。

あなたは、独りなんかじゃないよ・・・。

こんなにも沢山の人が、あなたのことを気にしてくれているんだよ。

どうぞ、お母さんの愛情だけにこだわらないで・・・。



そして、その親御さんにも、愛の光が降り注ぎますように・・・。





子ども達の解いたノート


   

   

   


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