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 『憑依じゃないって!」 〜今までに対応してきた生徒より〜 





中学生になると、意外に「霊」の話に敏感になる。
急に怖がる子もいる。

でも、だからこそ、そういう子には、ちゃんと論理的に考えてもらいたいのだ。
いたずらに、「被害者」にならないでもらいたいと願っている。
そんなある日のやりとりです。





昨日の授業でのこと。

「こんばんは〜!」
と、やけにニヤけたSさんが塾に入ってきた。(笑)

「なんか嫌なことでもあったん?」
わざと焦らしてみる。(笑)

「へっへっへ〜。」
と目の前に出された答案用紙。
そこには「80点」の赤い文字。


「おお〜っ! すごいじゃん!
うわぁ〜! きたぁ〜!って感じだねぇ! 
へぇ〜! ちょっとこれ、額に入れて飾っておこうよ!」

やや大げさに言うと、ちょっと照れたように笑っていた。




その日の授業中。
ひと段落したときに、ふいにSさんが口を開いた。

「あんな、センセ。
私、教室に入れんかった理由がわかった。

(Sさんは、1年くらい不登校。保健室登校を続けていた。
でも、最終的には公立の高校に合格した!)

なんかな、憑依されとったんじゃって。
同じくらいの年の子に。

で、その子も苛められとって、教室に入れんかったんじゃって。
なんかな、そのままにしといたら、私も死んでたかもしれんって言われた。」


「ふぅ〜ん。
あ! そんなん、誰に言われたん?」


「なんか、親が頼んだ、そういう能力のあるエライ人。」


「ふぅ〜ん。で、どうなん? 
Sさんは少しは楽になったん?」


「ん〜。そうじゃなぁ・・・。
まぁ、わからんけど、何となく。」


「そっか。
まぁ、センセはさ、否定はせんし、Sさんが実際に楽になったり、前向きになったりしてくれたんなら、
それはそれで良いと思うよ。

ん〜。

でもな、センセは思うけど、それは『憑依』が取れたせいじゃないよ。」


「なんで?」


「あんまり何でもカンでも『憑依!』『憑依!』って、憑依のせいにするのは良くないと思う。

だって、Sさんが将来さ、
『すてきな彼氏ができないんですけど、これも憑依が原因ですか?』
とかさ、言ってても仕方ないでしょ?」


「まぁ、そうじゃなぁ〜。」(笑)


「じゃろ?(笑)

『彼氏とうまくいかないんですけど』
『彼氏と別れたんですけど』
『友だちと喧嘩したんですけど』
『自分の子どもがグレたんですけど』
って、なんでもかんでも憑依のせいにしてたら、駄目でしょ?(笑)


『あなたは何様? じゃあ、自分には何の落ち度もなかったの?』
って話じゃない?」


「う〜ん・・・。そうじゃなぁ・・・。」


「ね。(笑)

折角、自分を見直すチャンスだったのに、
折角、自分のズボンのお尻のところが破れてるんじゃないかって、
鏡で確認できるチャンスだったのに、
『そんなの見たくありません!』
って、鏡を向こうに押しやってしまうようなもんだよ。

ねぇ。
考えてみてよ。

『ズボン、破れてますよ』
って言われることは、そんなに不幸なことなのかな?」


「ははは。(笑) そりゃ、違うじゃろ。」


「ね。(笑)
それにね、憑依ってそんな特別なことじゃない。

霊ってね、肉体がないから、思った瞬間にその場所に居れるんだよ。
頭である場所を想像するでしょ。

例えば、『学校のろうか』って言ったら、その場所がふっと頭の中に浮かぶじゃない。
そしたら、そこに居れるんだよ。

そんな感じ。

でね、例えば、死んだってことが受け入れられない霊が、
『お酒が飲みたいなぁ〜』
ってフラフラしてたら、同じように、
『酒飲みたいなぁ〜』
って生きている人の波長に同調して、
二人羽織りでお酒を飲んでるんだよ。

よく『類は友を呼ぶ』っていうじゃない?
実際に呼んでるんだよ。

それで、お酒を飲んで途中で意識が無くなる人、いるじゃない?
それはね、憑依が原因だよ。
自分が飲んでないから、飲んだ意識がないの。」


「へぇ〜! あ! そういうことだったんだ!」


「そう。ね。でも霊もね、全部思い込みなんだよ。
死んでね、お酒が飲めるわけないじゃない。

だって、肉体がないんだから。

飲んでる気にはなるかもしれんけどさ。(笑)

そういう『気』なんだよ。
死んだ後の世界っていうのはね。

よく『幽霊を見ました!』なんていう人がさ、
『頭からだら〜って血を流してました!』
なんていう人いるけど、これも霊にとってみれば、
『血を流している気がする』
ってことで、自分で血を演出してるんだよ。

『いつもより、多く流してますぅ〜!』なんてさ!(笑)

だからさ、もしその幽霊に会って、
『あ、大丈夫ですよ〜。もう血が止まってますからね!』
なんて言ってあげたら、
『あ! そうなんですか!』
なんて血が止まるかもね。」


「ははは。(笑) そんなの怪談にならないじゃない!」


「でも、しょうがないじゃない!(笑) そういうことなんだから!(笑)

だからね、憑依なんかのせいにしてたら駄目だよ。
それはね、専門用語でいうと『心霊病』って言うんだよ。
なんでも霊のせいにするような人の事ね。」


「へぇ〜! そんな言葉もあるの?」


「まぁね。(笑)
で、心霊病の別名を知ってる?」


「知らない」


「別名は、『暇人病』っていうんだよ。」


「ヒマジンビョウ?」


「そう。(笑)

だってね、今日、頑張らないと明日生きれないかもしれない、とかさ、
自分の子供や親が病気で倒れて、一秒でも早く病院に行きたいときとかさ、
自分の好きな人が事故に遭ったって聞いて、一刻でも早く駆けつけたいときとかさ、
そんなもう切羽詰ったときにね、
『ああ! ラップ音が怖いです!」とか、
『誰かがあそこから見てるんです!』とかさ、
『ドアに血の手形が!』とかさ、
そんなの気になると思う?」


「ははは。(笑) そりゃないじゃろな」


「じゃろ!(笑)

いい? 

今、目の前にあるこの瞬間瞬間を大切に生きようと思うとき、
他人の評価をあてにするんじゃなくて、
自分の想像しうる一番良い自分を表現しようと思うとき、
そのときに、はじめて自分の人生を生きているって言えるんだよ。

人間は出来事の被害者じゃない。
翻弄されてちゃダメだよ。

被害者だと思っているうちは、自分の人生と正面から向き合ってない。

自分の人生を
誰かの反応や出来事への反応の結果ではなく、
たましいから溢れ出す表現の源にしたらどうかな?


出来事が起こるのは、しょうがないよ。
でも、その出来事が良いか悪いかは、自分で決められるんだよ。


悪口言われて、一日中ずーっとそれにこだわって、楽しくない1日を過ごすのも、
それを無視して、他に楽しいことを探して、記念に残るくらいの1日にするのも、
悪口を言われたことを反省して、その子と仲良くできた1日にするのも、
全部自分で決められるんだよ。

例え憑依があったとしても、自分で『前向きに頑張ろ〜!』って思っていたら、
それで良いんだよ。」


「そんなもん?」


「そんなもん!(笑)

それにね、さっき憑依は日常茶飯事だと言ったでしょ?


自分の個人的な欲望を満たそうとする霊もいるけど、
もっと皆のために働きたいという欲望を満たそうとする霊もいるんだよ。

たとえば、生きているときには、もっと人の役に立ちたかったと思っている霊。
もっと親孝行しておけば良かったと思っている霊。
困っている人にはもっと優しくしておけばよかったと思っている霊。
生きているときに、人生の真理を知っておきたかったと思っている霊。

そういう人たちの念もたくさんあるんだよ。
そういう念のことを『愛念』と呼ぶよね。

自分さえ良ければ、後の人はどうなっても構わない、と思う、
小さな範囲の愛のことを、『小我の愛』。

自分も含めた、周りの人がみんな幸せになって欲しいと思う、
大きな範囲の愛のことを『大我の愛』というんだよ。

どっちを目指して欲しいかは、わかるでしょ?」


「うん。
そっか、生きてる人も、死んでる人も、みんな仲良くってことだね。」


「そう!
良いこというじゃない!

だからね、『死』というものも、別に最悪のことじゃない。
人は必ず死ぬんだから、そんな『最悪』に向かって進んでいるんじゃないんだよ。

だから、前向きになったきっかけになったんなら、それはそれで良いけど、
死を脅迫に使うその霊能者の人は、ちょっとセンセは賛成できないな。
自分に依存させておいて、お金を巻き上げたいだけかも知れないし。」


「う〜ん、そうじゃな・・・。」


「あんまり、お金の事ばかりいうようなら、離れた方が良いよ。
『除霊に10万円要ります』なんて言われたら、払わずに逃げるんだよ!」


「うん、わかった。がんばる。」


良い笑顔でした。



子ども達の解いたノート


   

   

   

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