「家では、なぜか喧嘩になってしまうので」
というお母さん。(笑)
夜の9時半に授業が終わり、子どもを一旦家に送り届けてから、また引き返して来られて、
子どもの様子などを聞きに来られた。
「本当に、よく頑張っていますよ。
あの、お母さんももし機会があれば見てやっていただきたいのですが、最近は、ノートを本当にキチンと取っています。
最近は、私が、
『はい、ここまでノート取って!』
って、言わなくても書いているんです。(笑)
それに、試験前は、範囲の英文を全文和訳して、大事な英文は何度も自分でテストして、全部暗記していました。
『センセ! こっから、ここまで、覚えてきたから、テストして!』
って、自分から言うんですよ。
そして、今日、来るなり、
『先生! 今日のテスト、全部解答欄が埋まったんよ!』
と嬉しそうに言ってくれました。
この間の授業のときも言っていましたが、
『そういえば、去年の今頃は、テストでも10点とか20点とか、じゃったんよなぁ〜。』
というような子が、今はテストで7割8割を狙っていこうかというレベルになっているのですから、大した成長だと思います。
もちろん、合ってるかどうかは別かもしれませんが、でも、分からない問題でも、自力で何とかしよう、って思うこと自体が、進歩だと思います。
だって、以前は、分からない問題は、手を付けようともしなかったんですから。」(笑)
「そうですかぁ〜。そうですよねぇ〜。(笑)
そういえば、去年の今頃は、荒れていて、私が毎日学校の正門のところまで車で毎日送って行ってたんです。
そうでもしないと、学校に行かなかったものですから・・・。
でも、今は、ちゃんと朝も起きて、学校に行ってますからね・・・。
で、いつか、子どもに聞いたんです。
『もう、お母さんが送っていかなくても良いの?』って。
そしたら、
『塾の先生と約束したから、一人で行く』って言ってくれて・・・。
ホントに、先生には、感謝しています。」
「いえいえ、私たちは仕事でしていますから、勉強ができるようにするためには、色々と周囲から考えていく方が良い場合は、そうするだけです。
でも、私も嬉しいです。(笑)
本当に、よく頑張っていますよ。数学のノートも今日見せてもらいましたが、キチンとまとまっていました。
理科のノートもちゃんとまとまっていました。
そう、理科のノートも、学校の先生に褒められたそうですよ。
みんなの前で、
『こんな風にまとめて下さい。』
って、学校の先生がKさんのノートをみんなに見せたそうですよ。」
「そうですか・・・。
でも、私があの子の部屋を覗くと、いっつもプリクラを切っているか、メールを打っているかなんですけどね・・・。(笑)
まぁ、でも、確かにノートは、キレイにまとめてありました。
去年の落書きだらけのノートとは、比べ物にならないです。」
「そうですか。良かったです。(笑)
でも、宿題も結構出しますが、毎回、毎回、きちんとやってきますよ。
あの、その、Kさんのお部屋をお母さんが覗かれて、そういう勉強していない状態だったら、
お母さんが、きっと
『勉強せられぇ!』
とか仰られて、そこからまた、喧嘩になるのではないですか?」
「はい、その通りです。」(笑)
「でしょう?(笑)
まず、親と喧嘩できるのも、親だからこそ喧嘩できるんだと思うんです。
そういう意味では、甘えているんですよ。
あの子なりの、まぁ、愛情の裏返しと言いますか。
照れもあるし、自立もしたいし、でも親に頼らないと生きていけないし、ってところで、表現方法をそれしかしらないと、そういう風になるんだと思うんです。
確かにその方法は褒められたものではありませんが、でも、それでも彼女なりに気を遣っているんですよ。
心配かけないように、と。
だって、彼女はとっても優しい性格ですよ。
ちょっと落ち込んでるような子には、「大丈夫?」と必ず声をかけますし、
今日も、『先生、昼から来とるから、お腹空いとるんじゃろ?』と、ポテトチップスをくれるような子です。(笑)
だから、どうぞ、ご心配なさらずに。
あの子は、少しずつ、お母さんからも自立をしようと、頑張っているところなんだと思うんです。
だから、それを少し応援してやってもらえませんか。
『最近、あの子のことがよく分からない』
って思われているのかも知れませんが、お母さんがお育てになったのですから、大丈夫だと思いますよ。
私としても、今回の中間テストで、また少し自信をつけてくれることを、とても楽しみにしています。」
などと、30分ほどお話しさせていただいた。
「彼女はとっても優しい性格ですよ」
の辺りでは、少しお母さんも涙ぐんでおられた。
ボクもKさんのお母さんの目が涙で光った時に、不覚にもウルっときてしまった。
きっと、その瞬間に、いろいろな事が走馬灯のように、お母さんの頭の中を過ぎったに違いない。
生まれて来た時のこと。
赤ちゃんの時の一挙手一投足に喜んだり、悲しんだりしたこと。
幼い日々のこと。
病院に駆け込んだ日のこと。
熱が下がらなくて、徹夜で看病したこと。
幼稚園、小学校、中学校・・・。
お帰りになるときは、
「本当に、先生とお話ししていると、安心します。
これからも宜しくお願いします。」
と深々と頭を下げられた。
「いえいえ、こちらこそ、宜しくお願い致します。」
と、ボクも頭を下げた。
お母さんの表情にも、笑顔が戻っていることが嬉しかった。
「みんな良い子」
そう思います。
その日も、感動の多い1日でした。
一緒に学ばせていただきました。
「ありがとうございます。」
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